外国子会社配当益金不算入制度

外国子会社配当益金不算入制度とは、間接外国税額控除による二重課税を排除する目的により、「日本の親会社が外国で得た課税済みの利益から分配される外国子会社からの配当の95%を非課税とする制度」のことをいいます。

本制度の趣旨は、「外国子会社の利益の日本国内への資金還流を促進する」ことにあり、その概要は以下のとおりです(※ここでいう外国子会社とは持ち株割合25%以上かつ6ヶ月以上の継続保有等の要件を満たす外国法人のことをいいます)。

◇ 日本親会社が外国子会社から受ける配当は、その配当(源泉税控除前)の95%が益金不算入とされる。 

→ 日本の親会社に支払った配当金は95%が非課税となります。

◇ 外国子会社配当益金不算入制度の適用対象となる配当に係る源泉税については、外国税額控除の対象外となり、損金にも算入されない。 

→ 両国において源泉税は課税対象とはなりません。

これまで本制度を利用した場合、日本の親会社にとっては、「配当への源泉税がなく、法人税率の低い国の外国子会社から配当を受ける」方法が最も効果的な節税スキームとなっていました。

ところが、2015年度税制改正により、2016年度からはオフショア地域にある外国子会社からの配当を日本の親会社が受け取った場合、「全部又は一部が外国子会社の本店所在地国の法令において損金算入することとされている場合には、その配当の額は外国子会社配当益金不算入制度の対象外とされ、全額が益金に算入される」ことになりました[※1]。

これにより、益金に算入される配当等の額に対して課される外国源泉税等の額については、外国税額控除の対象として二重課税の調整が行われることになります(※確定申告書等へこの規定の適用を受ける旨の記載、明細書の添付及び一定の書類の保存が要件とされます)。

したがって、外国子会社配当益金不算入制度の適用対象外とされた配当に対して課される源泉税は、①「損金に算入する」、あるいは②「外国税額控除の対象とすること」のいずれかを選択することになりました。

※1 本制度の改正は2016年4月1日以後、日本の親会社が外国子会社から受ける配当から適用されます。ただし経過措置により、2016年4月1日において有する外国子会社の株式に係る配当を2016年4月1日から2018年3月31日までの間に開始する各事業年度において受ける場合には、従前どおりの取扱いとされます。