5-1. ラブアン法人口座開設について

 

マレーシアでは銀行が倒産した場合、原則として、1銀行につき1社(個人)に対して最大MYR250,000がペイオフの対象となります(預金保証)。また、複数の支店の口座は1つの銀行としてカウントされるため、多くの資金がある場合は、複数の銀行口座を開設し、資金を分散管理することをお勧めします。

適用範囲は、普通口座、当座預金口座、定期預金口座、イスラム預金口座などの資産が対象となります。 一方、ユニットトラストおよび金融関連の投資商品には適用されません。

ペイオフは外貨口座にも適用され、その時点での為替レートに応じて、MYR 250,000に相当する金額が保証されます。

外貨預金は通常、その銀行が開設したコルレス銀行の口座に預けられています。コルレス(中継)口座は治外法権が適用され、金融機関の所在地の法律が適用されます。

したがって、マレーシア(ラブアン含む)の銀行はマレーシアが法的管轄地となり、シンガポールの銀行はシンガポールが法的管轄地となります。

最低預金額は金融機関によって異なります。マレーシアの銀行はおおむね10,000USD程度、シンガポールの銀行はおおむね30,000USD程度を最低預金額に設定しています。

最低預金額とは金融機関が設定する口座の維持費用のことをいいます。金融機関によって異なりますが、最低預金額を下回った場合は管理手数料を徴収されるか、もしくは口座がクローズされることもあります。

可能です。ただし為替手数料が余計に発生するため可能であればUSD口座へ直接振込いただくことをおすすめします。なお、オンショア口座の場合、MYR口座の最低預金額の設定はありませんが、外貨口座には最低預金額の設定があります。

したがって、MYR口座への入金確認ができ次第、速やかに外貨口座へ振替をお願いいたします。

口座開設時にはすでに開設している金融機関(銀行、証券会社など)から英文の残高証明書(バンクステートメント)を発行してもらうのが一般的です。また公共料金の請求書も認められています。

※なお、現地の言葉で書かれている場合は、原則として英文翻訳が必要になります。

Bank Reference(バンクリファレンス)とは、銀行が発行する照会状のことをいいます。

他の金融機関に対して、その顧客が問題なく口座を維持管理していることを証明するために発行されます。

通常は支店の担当者(リレーションシップマネージャー)に依頼すれば発行してくれます。

資金の源泉(Source of Fund)とは、銀行が資金の出所を確認するための書類のことをいいます。通常は「Salary(給与)」「Personal Asset(個人資産)」「Investment Income(投資の配当)」などを記載するのが一般的です。

W-8BENとはIRS(米国税務当局)に提出する非居住者の証明書のことをいいます。この書類を提出することにより、銀行預金の利子や株式・債券・ファンドなどの譲渡益が非課税となり、配当に対する源泉徴収が軽減される効果が期待できます。

W-8BENは通常、3年に1回の頻度で再提出を求められます。

UBOとはUltimate Beneficial Ownerの略称で、真の受益者のことをいいます。ノミニーなど第三者名義を用いて設立された法人ではノミニーが署名者になることはできません。したがって、原則として真の受益者が署名者になることが望ましいです(資金の持ち逃げを防ぐため)。

TINとはTAX Identity Numberの略称で、納税者番号のことをいいます(日本ではマイナンバーが該当します)。共通報告基準による自動交換協定をスムーズに行うため、各国の金融機関はすべての口座開設者に対し提出を義務付けています。

Controlling Personとは通常、株式の25%以上を保有する株主のことをいいます。

 

5-2. 入金と送金について

 

ABAナンバーとはアメリカ国内の銀行が個別に保有する銀行番号のことをいいます。アメリカ宛に送金する場合、受取人の金融機関の支店名に続けて「ABA NO.○○○○○○○○○」と入力してください。

IBANコードとは、欧州銀行協会と国際標準化機構(ISO)が外国送金のエラー削減、処理の迅速化等を目的に策定された共通規格のことをいいます。

現在、欧州域内ユーロ建送金について受取人口座番号への「IBAN」及び「BIC」コードの記載が義務付けられています。欧州向の外国送金には義務付けられていませんが、欧州の一部の金融機関では、コード未記載の場合、追加手数料を徴求される可能性があります。入力は、受取人の口座番号欄へスペースを空けずに入力してください。

※IBANには、受取人の口座番号も含まれているため、口座番号の代わりに記入すれば十分です。

各国の金融機関(銀行)はそれぞれ提携銀行を持っており、提携先銀行の外貨口座を利用して決済を行なっています。このように、金融機関が外貨決済のために利用している銀行を「Correspondent Bank(コレスポンデントバンク)」(通称:コルレス銀行)といいます(その口座をコルレス口座といいます)。

外国為替を扱う金融機関では、世界中の銀行とコルレス契約を締結し、送金や入金、手形の取立てなど、国際決済のための為替業務を代行してもらっています。これによって、現金を移動させずに文書(通信)のみで資金移動を行なうことができる仕組みとなっています。

送金先銀行のSWIFTコードが指定されていれば、送金元銀行(もしくは送金元銀行のコルレス銀行)が相手側のコルレス口座を検索して送金してくれます。

しかしながら上記の場合、資金が複数のコルレス銀行を経由して手数料を重複して取られたり、まれなケースですが、途中で資金が行方不明になってしまうなどのトラブルの原因になるため、送金時にコルレス口座を指定するのが一般的です。

為替手数料はTTSとTTBの差額(スプレッド)で表わします。

TTSとは「Telegraphic Transfer Selling rate」の略称で銀行が顧客に外貨を売るレート(顧客が買うレート)、TTBとは「Telegraphic Transfer Buying rate」で銀行が顧客から外貨を買うレート(顧客が売るレート)のことをいいます。TTSとTTBの仲値(中間)はTTM(Telegraphic Transfer Middle rate)となり、外国為替の基準レートとなります。このTTMレートとの差分が為替手数料として銀行の利益になります。

TTSとTTBは両替可能なすべての通貨に対して毎日提示されます。流通量の多い通貨は為替手数料は割安となり、流通量の少ない通貨は為替手数料は割高になります。

国内の米ドル口座から米ドルのまま送金したり、円のコルレス口座に円建ての送金をすれば、為替手数料は発生しません。

上記のような両替のない国際送金で銀行が徴収する手数料のことを「リフティングチャージ(為替取扱手数料)」といいます。

小切手(Check)とは当座預金に付随して発行されるもので、口座名義人が自分で宛先、金額を記入し、受取人に手渡すか郵送をします。

決済時に口座に資金がない場合は不渡り(Bounced Check)となり、手数料(借入利息)が発生します。口座の資金を家賃の支払いや取引に送金する際には便利な手段となります。

※小切手は盗難に遭った場合、署名者の署名があれば悪用されてしまうリスクがあるため厳重に保管してください。

送金小切手(Bank Draft)とは銀行が発行し、支払いを保証する小切手のことをいいます。送金小切手は小切手の宛先と通貨、金額を指定して発行してもらい、依頼人が自分で相手先に郵送します。

まず、送金手数料は送金元の銀行によって異なります。その他の手数料としては「為替(両替)手数料」があります。これらが銀行の利益となります。

受取銀行では受取手数料が、コルレス銀行ではコルレス(中継)手数料が、それぞれ徴収されることがあり、これらの手数料分だけ受取人の入金金額が少なくなってしまいます。

手数料を送金元負担(OUR)にすることにより、あらかじめ手数料分を先払いしておくことで受取人(BEN)は送金金額をそのまま受け取ることが可能になります。

ただし送金元負担(OUR)の場合、実際に支払った手数料が先払い金額より少なかった場合でも返金には応じてくれません(逆に実際の手数料のほうが高いと追加の支払いを求められます)。

送金元負担(OUR)は指定された金額を相手の口座に振り込むときには便利ですが、自分の口座に送金するのであれば、送金先負担(OUR)にして手数料分を考慮して若干多めに送ったほうがコストは安くなる可能性があります。

金融機関のなかには、送金の受取時に「受取手数料」を徴収する可能性があります。金額は銀行によって異なります。

コルレス銀行のなかには、送金手続きの際にコルレス(中継)手数料を徴収するところがあります。送金した資金が手数料を徴収するコルレス銀行を経由してしまうと、その分だけ入金金額が少なくなります。

受取手数料無料となっていても、最低預金額をそのまま送金するとコルレス手数料分だけ入金金額が減ってしまい、結果として口座維持手数料が発生する場合があります。これを避けるために、多少余裕をもって送金しておくことをお勧めします。

銀行口座への初期入金であれば「Initial Deposit(預金)」、事業取引の場合は「Business Service」、同一法人内の資金移動の場合は「Internal Transfer」など目的に合った内容を記載してください。銀行によってはリストから選択できる場合もあります。

※弊社への会社秘書役費用の支払いは「Company Secretary Fee(会社秘書役費用)」、「Professional Service(専門家サービス)」などを選択してください。

国際送金手続きは商習慣上、送金元の銀行が着金まで全責任を負うことになっています。

送金後1週間たっても受取人口座に入金が確認できない場合は、なんらかのトラブルが発生している可能性があるため、送金元の銀行に調査を依頼してください。なお、コルレス銀行を指定した場合、以下の2つの原因が考えられます。

(1) 送金指定先の相違、資金がいずれかのコルレス銀行で止まってしまった

送金元銀行で組戻しの手続きを取り、資金をいったん送金元口座に戻した後、再度送金をやり直します(組戻しの際に所定の手数料がかかります)。

(2) 資金が受取人の金融機関に到着しているものの、「Further Credit to」以下の指定が間違っていて受取人の口座に入金されていない

送金依頼書の控えを相手側金融機関に提示し、送金の事実を伝え、受取人の口座に入金するよう指示してください。

※国際送金を行う場合、振込先を事前登録する必要があります。登録先に最初は少額の資金をテスト送金し、無事に着金できるかどうか確認することをおすすめします。もし成功すれば次回以降は同じルートで送金がなされるため、大口の送金も安心して行えます。

※インターネットバンキングから送金指示を出す場合は、必ず受理番号をプリントアウトしておいてください。万が一のトラブルの際に重要な証拠となります。

 

5-3. 口座管理について

 

まず、銀行への登録住所宛に届いていないかどうかご確認ください。もし届いていない場合は銀行へ連絡し、所定の書類へ署名のうえ再発行を依頼してください。

※事業所を移転するなど住所が変更された場合は速やかに受取先住所の変更を行ってください。

金融機関によって異なりますが、長期間(通常1年間)ログインをしていないと、セキュリティのためロックされることがあります。カスタマーサポートに電話してロックを解除してもらう必要があります。

※少なくとも数カ月に一度は残高確認などを目的に定期的にログインを行ってください。

パスワードロックの解除については、電話で本人確認後、解除してもらう必要があります。パスワードを間違って入力しないようご注意ください。

セキュリティデバイス(トークン)の電池交換については銀行に問い合わせをお願いします。交換してもらうか、もしくは新しいデバイスを郵送してくれます。

※事業所を移転するなど住所が変更された場合は速やかに受取先住所の変更を行ってください。

バンクステートメントの発行は担当者(リレーションシップマネージャー)がいる場合は、担当者へご連絡いただければ手配してもらえます。

通常、パスポートと会社印(Company Chop)を持参し、最寄りの支店へ立ち寄っていただき、再発行をご依頼いただくのが最も早く、通常、その場で発行してくれます。

不正使用を金融機関に通知すれば、資金は原則として全額返還されます。

金融機関によって異なりますが、銀行に問い合わせし、新たなPIN(暗証番号)が送られてきます。ATMで受け取ったPINを使って初期化し、PINの変更をすれば利用できます。

※事業所を移転するなど住所が変更された場合は速やかに受取先住所の変更を行ってください。

有効期限が近付くと、登録先の住所宛に新しいカードが送られてきます。

※事業所を移転するなど住所が変更された場合は速やかに受取先住所の変更を行ってください。

Annual Review Form(銀行によって名称は変わります)とは、銀行がクライアントの最新の状態を把握するための書類です。必要項目を記載し、署名のうえ、原本を銀行宛にご郵送ください。

FATCA/CRS Form(銀行によって名称は変わります)とは、銀行がクライアントの税務居住国を把握するための書類です。必要項目を記載し、署名のうえ、原本を銀行宛にご郵送ください。