1-1. ラブアンについて

 

ラブアンは1956年に自由貿易港となって以来、今日まで引き続き自由貿易港となっており、島全体が免税特区に指定されています。

ラブアンは非常に小さな島にも関わらず防衛上の観点から極めて重要な位置にあるため、ブルネイ、イギリスによる統治や、戦時中は日本軍によって統治され、常に他国に支配されてきた歴史があります。

マレーシア独立後はサバ州に属していたものの、1984年にマレーシア連邦の直轄領に、そして1990年には免税港となり、隣国ブルネイなどからの買い物客も多くこの島を訪れます。

ラブアンは地政学上、東マレーシアに帰属しますが、1984年よりマレーシア連邦直轄領に指定されたため、行政上の区分は西マレーシアに帰属しています。

この小さな島の存在によって、マレーシア連邦の「地政学上の東西の境界線」と「行政上の東西の境界線」は大きく異なっており、とても興味深い場所でもあります。

ラブアンは地政学上、東マレーシアに帰属し、首都クアラルンプールから飛行機でおおむね2時間20分かかります。また、東マレーシアの最大都市コタキナバルからは飛行機で30程度で行くことができます。

 

1-2. ラブアンオフショア金融センターについて

 

ラブアンは1990年に国際オフショア金融センター=インターナショナル・オフショア・ファイナンシャル・センター(「IOFC」)として設立され、2008年1月に国際事業金融センター=ラブアン・インターナショナル・ビジネス・アンド・ファイナンシャル・センター(Labuan IBFC)に名称が変更されました。ラブアンは近年ではタックスヘイブン(租税回避地)として注目されている場所でもあります。

IBCとはInternational Business Company(国際事業取引会社)の略で、国際取引を専用に用いられる法人のことをいいます。

IBCは自国領土内での国内取引を行わないことを条件として税制優遇制度を採用しており、国内法人に比べて法人税が低税率となっています。ラブアン経済特区内で設立される全ての事業体はIBCに分類されます。

なお、ラブアンでは例外規定として弁護士、会計士などの専門家への支払いや事業所の家賃の支払い、従業員の支払いについてはマレーシア国内の取引を認めており、法定通貨リンギットでの支払いも可能です。

Labuan FSAとはLabuan Financial Services Authorityの略で、ラブアンの事業活動及び金融サービスの国際センターとして促進および開発するために設立された事業体の総称です。

また、ラブアンの国際的な事業活動及び金融サービスの開発と管理のための国家目標、政策を担当している政府系機関です。

1990年10月1日、ラブアンは国際オフショア金融センター(IOFC)として宣言されました。LabuanをIOFCに発展させるため、マレーシア政府は1996年2月15日にLOFSA(Labuan Offshore Financial Services Authority)を設立し、事業開発と広報、オフショア活動の監督機関として、またオフショア事業体の登録を担当してします。

ラブアンIBFCとはInternational Business and Financial Centreの略で、クライアントの機密性と国際的な最高水準及び規制の遵守との理想的なバランスを実現する包括的なミッドショアソリューション(オンショアとオフショアの中間サービス)を提供しています。

シンプルで魅力的な税制に支えられた事業活動に優しい環境は、規制当局であるLabuan金融庁(Labuan FSA)によって施行された、堅牢で現代的かつ国際的に認められた法的な枠組みによって十分なサポートがされています。

ラブアンIBFCは、国境を越えた取引、資産管理のニーズを促進する幅広い事業活動及び投資構造を有しています。 これらのユニークな特質は、アジアの急成長市場への参入を検討しているグローバル企業またはグローバル企業に進出する地域企業に健全な選択肢を提供します。

ラブアンIBFCは、アジア太平洋地域の中心部となる戦略的な位置に存在しており、世界で最も急成長している地域の1つを活用できる位置にあり、アジア経済とのつながりを求めている企業に最適な機会を提供します。

https://www.labuanibfc.com/

ラブアンはアジア地域において最低税率の金融センターを提供し、実行税率は3%となっています。香港(16.5%)やシンガポール(17%)に比べ、利益を再投資するのにより適した環境にあります。

また、投資目的の会社や事業活動を行わない財団などは全て非課税となります。この場合、会計監査は免除されます。

 

1-3. ラブアン信託会社について

 

現在、ラブアンでは50社以上の信託会社が営業活動を行っています。

詳しくは以下のサイトからご確認いただけます。

https://www.labuanibfc.com/areas-of-business/labuan-service-providers/trust-companies-and-ancillary-services/list-of-labuan-trust-companies

ラブアン法人には、会社秘書役(Company Secretary)の設置が義務付けられています。日本の企業ではあまり馴染みがない制度ですが、カンパニーセクレタリーとは「法人登記に関する書類の作成・保管、株主総会や取締役会の議事録を作成する役職」を意味します。日本でいえば、公認会計士や司法書士のイメージに近く、ラブアン法人の場合、信託会社がカンパニーセクレタリー業務を行うことになっています。

可能です。ただし、会社秘書役は原則として年次契約となるため、変更前に支払った秘書役費用は返金されないことが商習慣となっています。したがって、年次更新のタイミングで変更されることをおすすめします。

管理している事業体に重大な契約違反があった場合、又は会社秘書役費用の支払いが一定期間行われなかった場合、信託会社は会社秘書役を退任することがあります。

トラストオフィサー(Trust Officer)とは、善管注意義務や忠実義務など、いわゆる受認者(Fiduciary)としての役割と責任を負い、受益者(Beneficiary)のために行動する職業のことをいいます。