4-1. ラブアン信託の概要について

 

信託の大きな特徴としては所有権の二重性が挙げられます。

所有権の二重性とは、法的所有権(Legal ownership)と受益所有権(Beneficial ownership)が併存する状況のことをいいます。例えば、Xが出資して購入した物件の名義をYとした場合、Xが受益所有権を有し、Yは法的所有権を有することになります。信託の場合には、受益者が受益所有権を有し、受託者は法的所有権を有することになります。

そのため信託は、所有権の二重性の特徴により、税務対策、相続対策、将来的あるいは潜在的な債権者回避対策として非常に有用な仕組みとなり得る効果が期待できます。

ラブアンの信託には以下のような種類があります。

・Labuan charitable trust(慈善信託)
・Labuan protective trust(保護信託)
・Labuan purpose trust(目的信託)
・Labuan special trust(特別信託)
・Labuan spendthrift trust(浪費信託)

受託者が信託基金の法的所有者となり、信託設定者は移転された資産の所有者でなくなります。受益者は既得権益を有し、利益の配分を受けます。

ラブアン信託の存続期間は信託証書に規定されている場合があります。記載がない場合、ラブアン信託は永続的に存続することができます。 ラブアン信託は、信託証書に記載されている期間を変更することにより、固定期間の信託から無期限の信託に変更することもできます。

信託登録は任意です。ラブアンFSAに登録しないこともできます。ラブアン信託の情報(登録済みまたは未登録の両方)は機密情報であり、公開検索はできません。

信託の受益者への分配は、ラブアンで免税扱いとなります。

※受益者は、それぞれの税務居住国にて租税債務を満たす必要があります。

創業者は財団の管理及び管理に関する権利を保持しているため、ラブアンでは主に財団が活用されています。

 

4-2. ラブアン信託の設定について

 

信託証書、およびラブアン信託の設定目的(この情報は弊社の申請書に記入できます)、および各設定者/受託者/保護者/執行者/受益者に必要な顧客情報(KYC)文書

個人(自然人)の場合:-
1)NRIC番号(マレーシア国籍者)/ パスポート(外国人)
2)居住住所証明(例:公共料金の最新の請求書/ 3か月以内のもの)
3)専門家(例:弁護士、会計士、会社秘書、公証人など)によって発行された2通のリファレンスレター

事業体(法人)の場合:-
1)設立証明書
2)M&A(定款)
3)取締役リスト
4)株主リスト
5)登録住所の証明書
6)ラブアン法人の代表者就任のための理事会決議書

* コンプライアンスのレビューを参照し、ラブアンFSAより追加の文書をリクエストされる場合があります。

弊社ジャパンデスクまでお問い合わせください。

ラブアン信託の名称は、その名前が何らかの形で誤解を招くか、そうでなければ望ましくない場合、登録できない場合があります。

不適切な言葉(例:軍隊、武器、ギャンブル、占い、セックス、ドラッグなど-Military, Weapons, Gambling, Fortune Teller, Sex, Drugs etc)、宗教関連用語、連邦/州/国の言葉( 例:省庁、地方自治体、政府、国王、女王、王子、王女、陛下、王冠など-Agency, Municipal, Government, King, Queen, Prince, Princess, Majesty, Crown, etc)

弊社は、正式な名称の予約前に、提案された名称が利用可能かどうかを確認します。

弊社オフィスの住所が登録住所になります。

はい、可能です。返金料金は、所要時間と完了した作業分に応じて差し引かれます。

 

4-3. ラブアン信託の更新について

 

信託の年次更新は、その設立記念日に更新期限が到来します。また、クライアントは、設立記念日の期限前に更新料を支払う必要があります。

弊社ジャパンデスクまでお問い合わせください。

はい。ただし、ラブアンFSAに登録された特別信託にのみ適用されます。
更新料の支払いが更新期日後に支払われた場合、ペナルティは以下のとおり課されます。

(i)30USD : 1~89日の遅延支払い
(ii)50USD : 90~179日の間の遅延支払い
(iii)400USD : 180日以上の遅延支払い

 

4-4. ラブアン信託の清算について

 

 

4-5. ラブアン信託の役職について

 

受託者(Trustee)とは信託基金を保有し、受益者の利益のためにその管理を担当する者のことをいいます。

執行者/保護者(Enforcer / Protector)とは受益者の利益のために受託者に「監視員」のように行動する者のことをいいます。信託設定者によって任命されることがあります。

受益者(Beneficiaries)とは法的に信託を実施し利益を得る権利を有する者のことをいいます。個人(未成年者も可)、慈善団体、企業なども就任が可能です。

 

4-6. その他一般事項

 

希望状(Letter of Wishes)とは、信託設定者が自身の死後に影響を及ぼす事項について(特に分配問題)、受託者にアドバイスを行うための証書です。一般的に一任信託を設定する際に、設定者は必ず受託者に希望状を渡します。なお、希望状に拘束力はありません。

一任信託とは信託財産の管理・運用について受託者に完全な裁量権を与えるものです。一任信託により設定者は①「誰にどの資産をいつ配るのか」、また「②どのような頻度で配るのか」について完全な裁量権を持つことになります。

一任信託のメリットは受託者に裁量権が一任されていることから、後から受益者の状況にあわせて対応することができることから柔軟性に富んだ仕組みであるといえます。

※実際の運用につきましては、設定前に税務居住国の専門家にご相談ください。

固定型信託とはどの信託財産を、「いつ、誰に、どの程度の割合で配分するか」を予め信託証書によってはっきり確定させるものです。内容が確定していることで受益者はある程度の安心感を得ることができます。

しかし、そのその一方で、税務対策や将来的に発生しうる可債権者目的ではあまり有効とはなり得ません。

※実際の運用につきましては、設定前に税務居住国の専門家にご相談ください。

マレーシア居住者・非居住者ともに可能です。

就任予定者が適正かつ適切であり、弊社のデューデリジェンス要件(査定要件)を満たしている限り、いかなる人物又は法人も取締役に任命することができます。適正かつ適正とは基本的に、職業、事業、雇用に関して個人又は企業体が健全な状態にあり、破産申告を受けておらず、民事訴訟においてもいかなる詐欺行為又は不正行為の責任を負っておらず、裁判所によって有罪判決を受けていないことを意味します。

可能です。ただし、個人資産の場合は信託よりも遺言の作成を検討されることをおすすめします。

マレーシア国内の資産を信託に設定する場合、ラブアン金融庁(Labuan FSA)の事前同意が必要となります。マレーシア国外資産は自由に設定が可能です。

弊社では回答できかねます。詳しくは税務居住国の専門家(会計士、税理士等)にお問い合わせください。